【賃貸の退去費用】原状回復義務とは?
2023.08.23
借りているお部屋から退去した際は、借主は原状回復義務を負います。原状回復義務とは、賃貸契約終了時に使用した設備を入居前の状態にして返却する義務の事です。
借主は通常、契約時に敷金や保証金を支払っています。これらは、特に問題が無ければ退去時に返ってくるお金ですが、退去時に賃料の未払いや、上記の原状回復義務により生じた修理費等がある場合はそれに充てられます。
この原状回復義務は、どこまで借主が負わなければならないのでしょうか。退去時にトラブルになることも多いので、契約前に把握しておくことが大切です。
● 原状回復義務の意味とは?
原状回復義務とは賃貸物件を借りる前の状態にして返すということですが、その全てを借主が負担しなければならないわけではありません。借主は、通常の使用収益によって生じた損耗及び賃借物の経年劣化については回復する義務はないとされています。一方で、借主の故意・過失による建物の劣化等は借主の原状回復の対象となります。例えば、床が日差しで色あせた場合は通常の使用の範囲内なので借主に原状回復の義務はありません。しかし、不注意で床に傷をつけてしまった場合は借主の負担になります。
● 経過年数の考慮
また、借主の故意または過失によって建物を劣化させてしまい、借主が修繕費を負担しなければならない場合であっても、建物に発生する経年変化・通常損耗分は、既に賃借人は賃料として支払ってきているので、建物や設備等の経過年数を考慮し、年数が多いほど負担割合を減少させることが適当です。
● 特約について
借主、貸主がお互いに納得していれば、特約として上記とは別の負担割合を定めることができます。ただし、原状回復の特約が認められるのは
1.特約の内容が明確に明記されており、必要性が客観的・合理的にあり、借主に対して暴利的ではない
2.借主が特約によって定められた通常の原状回復義務を超えた範囲の原状回復を負うことを理解している
3.借主が特約の義務を負う意思を明確に表明している
上記3つのポイントを満たした場合のみとなっています。
● トラブル防止のために
「入居前に必ず部屋の隅々をチェックすること」
内見時や引っ越し前に、必ず建物に傷や汚れが無いかチェックしましょう。もしある場合は写真を撮っておき、不動産会社と情報を共有しておくことが大切です。
「契約時に契約書に書かれている内容をしっかり確認する」
明らかに借主に不利となる特約などが無いか、契約する前にしっかりと確認しましょう。
「入居中は掃除をしっかりし、綺麗に使用する」
特に換気扇やガスコンロ周りの油汚れや台所や浴室等の水回りの汚れは放置せず、こまめに掃除をしましょう。掃除や手入れを怠った場合の劣化は借主負担とされています。
退去時に原状回復義務の負担割合でトラブルになることは多いです。貸主、借主双方が気持ちよく退去までお付き合いができるように、物件を借りる際には上記のポイントに注意してみましょう。